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依藤産婦人科医院の夜間の外観

母体血胎児染色体検査(NIPT)

NIPTは、母体の血液中に漏れ出した、お子様の染色体を分析して、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの染色体疾患をもつ可能性を調べる検査です。母体血清マーカーテスト(クアトロ検査)に比べて、検査精度が高いことが特徴です。妊娠10週以降検査が可能で、妊婦様の肘からの採血(10~20ml)で検査を行うため、検査に伴う流産のリスクはありません。
当院は日本医学会における出生前検査認証制度等運営委員会より、正式に「NIPTを実施する医療機関」として認証を受けています。この認証制度の指針に沿って、遺伝カウンセリングとその後の検査を実施しています。

  • ご夫婦(可能な限り)に遺伝カウンセリングを実施した後に、希望なさる妊婦様に検査を行います。
  • 出産後の事後調査へのご協力がいただける方が対象です。(データは匿名化されており、個人情報は保護されます)
  • 免疫療法を受けたことのある方、母体に遺伝子異常がある方、過去12ヶ月以内に輸血を受けた方、抗凝固療法を受けている方(ヘパリンやアスピリン)、幹細胞治療を受けたことのある方、臓器移植を受けたことのある方に該当される方は、検査結果に影響がでる場合がございます。事前にご相談ください。
  • 静岡市内におけるNIPT認証施設は、当院(依藤産婦人科医院)、たむらウイメンズクリニック、静岡済生会総合病院、静岡市立静岡病院の4箇所です(令和5年12月現在)。これ以外の施設は認証を受けていない施設です(産婦人科医院でもありません)。非認証施設では、営利だけを目的とした診療のため、検査前後での十分なカウンセリングの提供が無いこと、検査結果が陽性の場合、その後の対応(陽性結果に対するカウンセリングと羊水検査のご案内)をしてもらえないことから、途方に暮れて当院を初診なさる妊婦様が後を絶ちません。特に羊水検査を受けてもらえる施設を妊婦様自身が探されることは大変難しいため、認証施設において検査を受けられることを強くお勧めいたします。
NIPTを実施する医療機関(連携施設)認証証

非認証施設の特徴

  • 「DNA」「NIPT」と言ったKey wordを機関名としていたり、美容外科、皮膚科などの診療機関で産婦人科診療を行っていない。(産婦人科ではないので、胎児の超音波検査は提供できない)
  • 採血自体を、近隣の提携施設で行う。(内科、整形外科、皮膚科等)
  • NIPT陽性の場合に、羊水検査対応施設を、自分で探させる。
  • 妊娠6週~10週といった早い時期のNIPTを勧めたり、妊娠10週以降にもう一度確認しましょうと、検査回数を重ねることで安心を提供しようとする。

NIPTに関する説明文章はこちらから

FAQ

Q)検査を受けるに当たり、年齢制限はありますか?

A)NIPTの検査に年齢制限はございませんが、染色体疾患が増える高齢妊娠の方、染色体疾患の家族歴、既往歴がある方が、心配されてNIPTを受けられることが多いですが、高齢ではない35歳未満の方も希望されることがあります。

Q)検査を受けるかどうか分りませんが、相談だけでもいいですか?

A)もちろん大丈夫です。遺伝カウンセリング外来では、先天性疾患のことやそれぞれの出生前検査に関する検査原理や特徴についてご説明いたします。その上で、妊婦様やご主人様のご心配やお悩みについて話しをうかがい、検査をなさるか決めて行く上での材料をご提供いたします。検査を受けるかどうかは、後日に持ち越していただいてもかまいません。

Q)NIPTはいつから受けることができますか?

A)妊娠9週から検査可能とされていますが、早すぎますと、母体の血液へ漏れ出す胎児の染色体の量が不足してしまい、結果が判定保留となることがあります。どの検査にも「やり時」がございますので、具体的には分娩予定日決定後の妊娠10週以降が望ましいと考えます。また結果が陽性の場合には、確定検査としての羊水検査へ進むことが多いため、NIPT受検は妊娠17週を超えないようにご案内をしています。

Q)NIPTは流産の危険を伴いますか?

A)NIPTは、母体の肘からの採血で行います。羊水検査などの確定的検査では、破水などから流産に至るリスクを伴いますが、非確定的検査であるNIPTは流産の心配はありません。

Q)NIPTで胎児の性別は分りますか?

A)性別は分りません。当院の様に、認証制度に基づいた正式な「NIPTを実施する医療機関」では、NIPTの対象疾患は21トリソミー, 18トリソミー, 13トリソミーとなっています。性染色体(X染色体、Y染色体)のNIPT検査は、検査精度が上記3つのトリソミーに及んでおらず、信頼性が低いため、性染色体は検査対象になっていません。

Q)赤ちゃんの首の後ろの浮腫みを指摘されましたが、NIPTを受けた方が良いのでしょうか?

A)首の後ろの浮腫みはNTと言われています。NTが厚い場合、そうでない場合に比べて胎児が染色体疾患や先天性心疾患などを持つ可能性が高くなります。NT自体は、NIPT同様に胎児の染色体異常のスクリーニング検査のため、肥厚が見られる場合には、確定的検査が必要となります。(非確定的検査に非確定的検査を重ねることは適切ではありません。)確定的検査で染色体疾患を認めなかった場合には、妊娠20週前後の胎児超音波検査により、心臓や他の臓器の構造的疾患が無いかの確認が推奨されます。肥厚を認めても、正常なお子様を得る可能性も十分にありますので、解釈する上で注意が必要です。ただNTの計測は0.1mm単位での測定が求められる中で、胎児が計測に適した姿勢をとってくださることは珍しいため、計測が難しく、結果として誤差を多く含む場合がございます。このため正確なNT計測は、偶発的に簡単にできる場合を除き、普段の健診の中で行われる事は一般的でありません。出生前検査に特化した医療機関(一般の妊婦健診、分娩対応を行わない)であれば検査可能ですが、残念ながらそのような施設は少ないのが現状です。

Q)これまでの健診の超音波では特に何も言われていないので、NIPTは不要でしょうか?

A)胎児に染色体疾患があっても、必ずしも超音波検査にそれが反映される訳ではありません。そもそも健診の超音波検査は、胎児の成長、羊水の量、順調な妊娠かどうかを確認するための通常超音波検査であり、胎児の疾患を検出する目的で行われる胎児超音波検査(胎児ドック、胎児超音波スクリーニング検査)ではありません。胎児超音波検査においても、胎児の臓器を細かく診るには、妊娠20週前後まで待たねばなりません。健診における通常超音波検査による妊娠の順調さが、NIPT検査の受験動機を否定する材料にはなりません。

Q)NIPTと母体血清マーカー検査(クアトロ検査)の違いについて教えてください。

A)どちらの検査も、対象となるtrisomyの可能性が高そうかどうかをみる非確定的検査であり、母体の肘からの採血のため流産のリスクはありません。NIPTは母体血清マーカー検査に比べて、検査精度が高いことが特徴です。NIPTでは、検査による見逃しがほとんどありませんが、母体血清マーカー検査では約2割の見逃しが起こりえます。またNIPTは、染色体が正常なお子様を、検査で陽性(可能性が高そうである)と誤って判定してしまう頻度が少ないことも特徴です。母体血清マーカー検査は、この頻度が高いため、(染色体が正常であれば)本来は必要の無い羊水検査が多くなってしまう特徴がございます。

Q)他院にかかりつけの病院がありますが、NIPTだけで受診することは可能ですか?

A)はい、可能です。静岡市内におけるNIPT認証施設は、当院(依藤産婦人科医院)含め4箇所のみとなりますので、他院に通院されながら当院のNIPTを受けられる妊婦様もいらっしゃいます。当院では、認証施設としての専門知識を持つ医師がご相談をうかがいながら十分な説明に心がけ、妊婦様やご家族様の不安の軽減に努めています。信頼性の高い検査と安心感を得られる当院に是非ご相談ください。

Q)NIPTを受けて、結果が陰性でした。他に気にしておくことはありますか?

A)NIPTは、対象とする3つのトリソミー以外の染色体や、そもそも染色体に因らない疾患については、検査対象となっていません。このためNIPTを受けて結果が陰性の場合には、その後、実際にお子様の臓器に構造的な疾患がないかを、妊娠20週、30週といった節目の時期に詳しく超音波で精査してもらうことが、NIPTの検査結果の補完となり、更なる安心に繋がります。普段の妊婦健診における「通常超音波検査」とは異なり、一般的には健診に組み込まれていない「胎児超音波検査」(詳しくはこちらをご参照ください)は、どの施設においても実施されている検査ではありません。当院は超音波専門医が2名体制で検査を行っています。妊婦健診は他院かかりつけで、当院でNIPTだけを受けられる方につきましては、ご希望があれば、その後の胎児超音波検査(胎児スクリーニング検査)を当院でお受けいたします。当院かかりつけの方は、健診に自動的に組み込まれていますのでご安心ください。

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